自己破産で免責となれば、クレジットカードで作った借金は帳消しとなりますが、自己破産することで利用している(利用残高がある)クレジットカードだけでなく、利用していないクレジットカードもいずれは強制解約され、使えなくなります。
自己破産後、クレジットカードが使えなくなるのは5年間〜10年間。信用情報に登録される事故情報が削除されるまで、新規でクレジットカードは作れません。
このページでは自己破産することによるクレジットカードへの影響、自己破産した後でもクレジットカードを使いたい方の対処法など、詳しくご説明いたします。
自己破産してもクレジットカードは使える?
自己破産したクレジットカードはもちろん、利用していないクレジットカードもいずれは使えなくなります。
つまり所有しているクレジットカードは全て使えなくなります。
利用しているクレジットカードは強制解約となる
利用しているクレジットカードの場合、自己破産することで強制解約(会員資格の取消)されます。
もし、クレジットカードで支払いしているものがあれば、他の支払い方法の変更が必要ですし、クレジットカード機能付きのETCカードも利用できなくなります。
また強制解約されると利用できなくなるだけではなく、貯まっていたポイント等も失効します。
クレジットカードはいつ利用できなくなる?
強制解約されるタイミングは自己破産を専門家(弁護士など)に依頼した場合と、ご自身で自己破産を申し立てした場合で異なります。
クレジットカード会社が自己破産をしたことを知るタイミングは、受任通知を受け取った時です。
例えば、弁護士に自己破産を依頼した場合、依頼後、弁護士から債権者(クレジットカード会社等)に受任通知を送付します。
強制解約についてはクレジットカード会社の会員規約にも記載されていますが、受任通知を受け取ることで、クレジットカード会社は強制解約できます。
第23条(会員資格の取消)
1.当社は、会員が次のいずれかに該当した場合、その他当社において会員として不適格と認めた場合は、通知・催告等をせずに会員資格を取消すことができるものとします。
2.本会員の信用状態が悪化したと認められるときも前項(上記1項)に準ずるものとします。
上記2項にある「本会員の信用状態が悪化したと認められるとき」とありますが、信用状態は自己破産することで「信用情報」に事故情報として登録され、信用情報に傷が付いた状態となる、つまり、信用状態は悪化したと判断されます。
信用情報に事故情報として登録されることでクレジットカードだけでなく、ローンも利用できなくなります。
ご自身で自己破産を申し立てした場合は、自己破産手続きが開始された後に裁判所から送付される「自己破産手続開始の通知」をクレジットカード会社が受け取ったタイミングで強制解約します。
専門家へ依頼した時と比べ、強制解約されるまで時間に猶予はありますが、自己破産する前にクレジットカードを利用した場合、免責不許可事由に該当するリスクが生じます。
使っていないクレジットカードはどうなるのか
使っていない(利用残高がない)クレジットカードは自己破産の手続きを開始した際、受任通知等は送付されないため、クレジットカード会社が自己破産した情報を知るまで、強制解約はされません。
しかし、クレジットカード会社が自己破産を知るのは途上与信等、信用情報を照会したタイミングで強制解約されるため、いずれは利用できなくなります(更新されることもありません)。
また先ほどもお伝えした通り、強制解約前で利用できるからといって、クレジットカードを利用しますと、不免責許可事由に該当するリスクが生じるため、利用は避けましょう。
つまり、自己破産するとクレジットカードを残すことはできないと考えましょう。
自己破産するとクレジットカードは何年間使えない?
自己破産した後、クレジットカードは最低5年間は使えません。
先ほどお伝えしましたが、自己破産することで信用情報に事故情報として登録されます。信用情報から事故情報が削除されなければ、新規でクレジットカードを作れません。
信用情報機関に事故情報として登録される期間
信用情報から事故情報が削除されるまで何年かかるかは、信用情報機関(CIC、JICC、全国銀行個人信用情報センター)で異なります。
信用情報機関 | 自己破産の場合 |
---|---|
CIC | 5年以内 |
JICC | 5年以内 |
全国銀行個人信用情報センター | 10年 |
例えば、消費者金融から借り入れしている方の場合、自己破産することで最低5年間はCICとJICCの信用情報に事故情報に登録されます。
また信用情報に登録される事故情報も信用情報機関によって異なります。
自己破産が信用情報に事故情報として掲載される項目・登録内容
信用情報機関 | 項目 | 登録(記載)内容 |
---|---|---|
CIC | 31.終了状況 | 法定免責 |
JICC | 異動参考情報等 | 破産申立 |
全国銀行個人信用情報センター | 官報公告区分完了区分 | 破産手続開始強制回収手続 |
信用情報から事故情報が削除されたか?確認するには、信用情報機関に信用情報を開示請求、取り寄せすることで確認できます。
信用情報の開示方法は信用情報機関によって異なります。
信用情報機関 | 開示方法 | 手数料 | 支払い方法 |
---|---|---|---|
CIC | ・インターネット(スマホ・パソコン) ・郵送 ・窓口* | 1,000円(税込) ※窓口では500円(税込) | ・クレジットカード ・定額小為替証書 |
JICC | ・スマホ(申し込みのみ) ・郵送 ・窓口* | 1,000円(税込) ※窓口では500円(税込) | ・クレジットカード ・コンビニ払い ・ペイジー対応の金融機関ATM、オンライン支払い |
全国銀行個人信用情報センター | 郵送 | 1,000円(消費税・送料込) | 定額小為替証書 |
信用情報はCICであればPDFでダウンロードできますが、JICCや全国銀行個人信用情報センターの場合は郵送等で送付してもらうのがよいでしょう。
自己破産は配偶者のクレジットカードに影響はある?
自己破産しても配偶者(家族)の信用情報には影響しないため、配偶者名義のクレジットカードは問題なく利用できます。
例えば、夫が自己破産した場合、奥様名義のクレジットカードやお子様名義のクレジットカードは今まで通り使うことができます。
自己破産された方でも家族カードであれば使える
自己破産された方でも家族名義のクレジットカードで家族カードを作れば、クレジットカードを使える場合があります。
デビットカードやプリペイドカードを利用する方法もある
自己破産後でもデビットカードやプリペイドカードは作ることができ、デビットカードやプリペイドカードであれば、クレジットカードのように使えます。
クレジットカードと違う点は、デビットカードは利用時に支払い金額が銀行口座から即座に引き落とされます。プリペイドカードは事前に利用する金額分をカードへチャージ(前払い)し、利用します。
クレジットカードよりもポイント還元率が低いなどデメリットもありますが、自己破産した方でもキャッシュレス決済を利用できるのはメリットでしょう。
比較項目 | デビットカード | プリペイドカード | クレジットカード |
---|---|---|---|
自己破産後の利用 | ○ | ○ | × |
自己破産後のカード発行 | ○ | ○ | × |
審査 | 原則不要銀行口座の開設が必要 | 原則不要 | あり |
利用限度額 | 引落とし先の銀行普通預金口座の残高内 | 前払い利用前にチャージした金額 | クレジットカード会社が設定 |
支払い方式 | 利用後、即時払い(普通預金口座から引落とし) | チャージした残高内から支払われる | 後日、指定する銀行口座から引落とし等 |
支払い方法 | 原則一回払い | 一回払いのみ | 一回払い他分割払いやリボ払い等 |
利用できる場所・サービス | コンビニ等、ネット通販等 | クレジットカードとほぼ同様(公共料金の支払い等は不可) | デビットカードで使える支払い先他、様々な場所で利用可能 |
まとめ
自己破産することでクレジットカードは強制解約され使えなくなります。使えなくなるのは利用していない(利用残高のない)クレジットカードも同様です。
クレジットカードが強制解約されるのは、クレジットカード会社へ受任通知が届いたタイミング、もしくは裁判所から自己破産手続開始の通知が届いたタイミングです。
利用していないクレジットカードはクレジットカード会社が途上与信等で信用情報を照会したタイミングで強制解約されます。
強制解約されるまではクレジットカードは利用できますが、利用することで自己破産が免責不許可となる可能性があるため、自己破産を考えている方であれば止めましょう。
自己破産後、再びクレジットカードが作れるようになるには一定期間、経過しなければならず、信用情報から自己破産の事故情報が削除される5年間〜10年間は利用できません。
信用情報は信用情報機関からご自身で開示請求し取り寄せ確認もできるため、クレジットカードに申し込む前に確認してみましょう。
自己破産しても家族名義のクレジットカードには影響はないため、問題なく使えます。そのため、ご家族名義のクレジットカードで家族カードを作れば、自己破産された方もクレジットカードを利用できます。
また自己破産された方の名義でクレジットカードは作れませんが、デビットカードやプリペイドカードであれば作ることができます。
クレジットカードが使えない自己破産された方がキャッシュレス決済できる方法として覚えておきましょう。